【完】俺が消えてしまう前に

・親友



**

「七海!!」


俺は迷わず女子トイレに入った。

そこで見たのは、
制服を引き裂かれて倒れている七海と
七海を囲む七人くらいの女子の姿だった。

ある女子生徒の手にはカッターナイフ。

そしてある女子生徒の手にはバケツと雑巾。

七海の近くにも数枚雑巾が落ちていた。



「・・・っ!七海!」


「なっちゃん!」


俺と愛希は急いで駆け寄った。
ぼんやりと七海は目を開けてこう言った。


「このまま、死んじゃいたいな」


「何、言ってんだよ」


「だって・・・そうしたら、二人とずっと一緒にいられるでしょ?」


「なっちゃん・・・」


「二人と一緒にいられる方が私にとって幸せ」


「七海・・・」


「このまま最後までこの人達にやらせて、そうすれば私はきっと死ねるはず」


「なっちゃん、しんじゃやだぁ!」


「ごめんね?愛希ちゃん・・・。やっぱり私弱いままだ」


「ふざけんな」


「へ?」


「ふざけんなって言ってんだよ」


「樹君・・・」


「お前が死んだら親が悲しむ。それ以上に、俺達が悲しむ」


「・・・」




俺は立ち上がった。

今までにない憎悪と共に。
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