【完】俺が消えてしまう前に


「静まりなさい!!!」



荒れる女子トイレに響く声。

俺はその声の正体を確認した。



「・・・悪霊め」


そこにいたのはあの桃子という女だった。


「この学校には幽霊を入ってこれないようにしてあるのに・・・どうやって入ったの!?」


どうやら今は俺の姿が見えるようだ。
さっきの教室では見えてなかったはずなのに。


「今お前に構ってる暇はない。こいつらを・・・どうにかするまではな」


「い、いっちゃん!」


「・・・なんだ」


「ちょっと、やりすぎだよ?」


「愛希。こいつらは今まで長い間七海を苦しめてきた。なのにやりすぎもくそもないだろ」


「でも」


「俺は俺のやり方でお前と七海を守る。もう逃げたりしない。・・・たった今決めた」



俺らの会話を聞いていた桃子。
少し吐き捨てるようにこう言った。


「守る?こんな邪悪な力で守って彼女が喜ぶと思うの?」


「お前に、何が分かる」


「分かる、分かるわよ!とにかく力を抑えなさい!」


「お前も敵か」


「違う・・・話を!!」


「お前も敵か!!!!!」



俺は俺自身の力をコントロールできなくなっていた。

自分じゃない奴に体を乗っ取られたように・・・。



それから先の事は一瞬の出来事だった。
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