【完】俺が消えてしまう前に
桃子が持っていたお札らしきものを取り出し、辺りに塩をまく。
俺はそれを受けて焼けるような痛みを感じた。
息が苦しくなりその場にうずくまる。
「・・・これで終わりよ」
消される。
俺は瞬間的にそう思った。
だけど、
今そんな事されたら死んでも死にきれない。
今度こそ本当に悪霊として生まれ変わってしまうかもしれない。
ぎゅっと固く目を閉じる。
心から強く七海を想った。
愛希の事も。
「やめて!」
「な、何するの水島さん!」
「消さないで!」
「見えているの・・・?」
「お願い、私のせいなの。消すなら私を消してからにして!」
「そんな・・・普通の人を消す力なんてないわ・・・」
「お願いっ!」
倒れて心身ともに疲れているはずの七海が桃子を抑えていた。
「・・・七海」
「いっちゃんだいじょうぶ!?」
「愛希、か。なんとかな」
「よかったぁ」