【完】俺が消えてしまう前に
そういえば、ふと思ったんだけど。
こんな時間に小さな愛希を連れて歩く俺の事を
周りの人間はどう思って見ているんだろうか。
兄妹?
・・・にしてはおかしいもんなぁ。
時間が時間だと思うし。
って言ってるわりにはちゃんとした時間も分からないんだけど。
時間を把握するため、近くのファーストフード店のガラス張りの場所から時計を見た。
時刻は午前4時35分。
「こんな時間だったのか」
だいたい読みは合ってたな。
愛希の両親に会ったらびしっと言ってやろう。
こんな時間まで子供を外に出しておくなんてどういうことなんだって。
「あ、愛希。眠くないか?」
「うん」
「そ、そうなのか」
「ぜんぜんねむくないよ」
「珍しい子供だな」
「いっちゃんは?」
「俺?俺は眠くないよ。大人だから」
「いっちゃんなんさいなのー?」
「・・・何歳だと思う?」
「こうこうせい!」
「高校生、か」
そんな話をしながら前に進む俺達。
だけど、途中で重大なミスに俺は気付く事になる。