【完】俺が消えてしまう前に


「だけど私が拒否し続けてた。他人を受け入れる事も怖かったし、桜塚さんに迷惑もかけたくなかったから」


「・・・」


「桜塚さん以外にも助けようとしてくれた人はたくさんいたの。でも私が否定し続けたらいじめる側にどんどんついていった。きっと桜塚さんもそういう人なんじゃないかって思ってたんだけど・・・違った」



七海は桃子の方へと歩み寄る。


「ありがとう。本当に」


「お、お礼なんていらないわ」


「ううん。言わせて?今更だけどさ・・・」


「本当、今更な話よ!やっと貴女とちゃんとしたお話ができるわね」


「お話・・・?」


「小学校の時、一目見て貴女と友達になりたいって思ったの。・・・一目惚れって言ったらおかしいかもしれないけれど」


「そ、そんな・・・どうして」


「私にも分からない。これが運命ってやつかしら?笑」


「・・・あははっ」






女同士はいつの間にか仲良くなっている事があると聞いた事がある。


男の俺には分からない。

だけど、
この二人を見ていると
もうずっと昔から親友だったようにも見える。



ただタイミングが合わなかっただけだろう。



「なっちゃんとももちゃんがなかよしさんだぁ!」


「だな」



俺と愛希はそれを微笑ましく見つめていた。
< 55 / 166 >

この作品をシェア

pagetop