【完】俺が消えてしまう前に
「・・・あ!!!」
俺が急に立ち止まって、後ろを歩いていた愛希は俺の体にぶつかった。
「ご、ごめん。・・・いやさ、俺愛希の住所までたどり着けねぇや」
「・・・え!どうして?」
「なんて言うか・・・5歳には言いづらいんだけど」
「?」
俺は記憶を失くしている。
なんて言えるわけないだろ。
ましてやこの場所の道すらも覚えてないのに、
この紙の住所までたどり着けるはずもない。
・・・どうするべきかな。
こういう時、やっぱり警察に相談するべきか?
いやでもな・・・。
誰かに声をかけて道を聞いてみるか?
うーん。
「とりあえず!愛希、休憩しよう」
「えー、あきべつにつかれてないよ」
「いいんだよ!俺が疲れたの!」
「いっちゃんあきより大きいのにげんきないの?」
「・・・もうそういう事でいいよ」
どうするべきかここで悩むべきだ。
俺と愛希は近くにあったベンチに座る事にした。
愛希はベンチに座ると足をぶらぶらさせて暇をつぶしている。
俺は俺でこれからどうするか真剣に悩んでいた。