【完】俺が消えてしまう前に

何件か話を聞くうちに
愛希がどうして死んでしまったのか少しずつ分かってきた。


まず愛希が死んだのは去年の今頃。

夏に入るか入らない程度の時期だったようだ。



死因は事故。
そこらへんにありふれている自動車の事故だ。




「そうなのよ・・・。清水さんたちがかわいそうでかわいそうで・・・」


「そうだったんですか・・・」


「なんでも大型のトラックにひかれたらしくて」


「大型の・・・」


「居眠り運転だったっていうのも聞いたわねぇ」


「・・・ありがとうございました」


「いえいえ。ところで可愛らしい女子高生の女の子がどうしてこんな一年前の話を聞き込んでいるの?」


「愛希ちゃん・・・とはお友達だったんです。公園で、出会って」


「あら、そうなの・・・」


「だけどいつの間にかこなくなって、それで・・・。今ようやく愛希ちゃんの自宅が分かったんですけどお話できる状態じゃなくて・・・」


「清水さんの家はもう崩壊寸前だものね」




大型のトラックにひかれた小さな愛希。
その光景を思い浮かべるとすごく胸が痛くなる。

こんな話を本人も聞いてるんだろうか。



・・・現実を受け止めて、
成仏に近づく事は確かに大切なことかもしれない。

だけどこんなにもきついなんて。


本人じゃない俺でもきついんだから、本人にとってはきっと・・・。




なんて考えてる場合じゃないな。

ちゃんと整理しないと。
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