【完】俺が消えてしまう前に
・事実
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「あ、愛希・・・」
愛希は自分の名前を呼ばれ首をかしげている。
・・・そうだ。
思い出した。
あの時"彼女"が助けた子は愛希だったんだ。
どうしてこんな大事な事思い出せなかったんだよ。
愛希はすぐ近くにいたのに。
どうして気付いてやれなかったんだ。
いや、
その前にどうして俺の記憶は無くなったんだ。
今でさえ少しずつ思い出してきてるけど。
あれ・・・。
"彼女"って誰だ。
『いーつき♪』
君は誰だ。
『大丈夫、あたしがついてるからね』
何故こんなにも胸が熱くなるんだよ。
『樹はあたしが守るから』
分からない。
まだ分からないことだらけだ。
「樹君?」
「・・・あ」
「顔真っ青だよ・・・?」
「な、七海か」
「え、私だけど」
「ごめんなんでもない」
七海があまりにも"彼女"に似ている事は変な気分だけど
これでようやく喉に引っかかった魚の骨はなくなった。