【完】俺が消えてしまう前に
それからどれくらい経ったのだろうか。
「いっちゃーん!まーだー?」
愛希に声をかけられてかなりの時間がたった事に気がついた。
「あ、待たせたか・・・。悪い」
「べつにいいんだけど。はやくぱぱとままに会いたいのー」
「・・・そうだよな。うん、ごめんな?」
愛希の頭に手を置き、撫でてやった。
少し愛希は嬉しそうに笑顔になる。
警察に頼るのはちょっとあれだから・・・。
通りすがりの歳が近そうな人に聞いてみよう。
高校生ならここら辺の地理分かるだろ。
あれから結構時間もたったはずだし・・・。
もうすぐ登校する時間だろう。
俺は高校生が通りすぎるのを待った。
ようやくヘッドフォンをした男子生徒が通りかかる。
「あのーすいません」
俺が声をかけても、音楽で聞こえないのか素通りしていった。
「・・・ったく。事故するぞあんなんじゃ」
俺が文句を吐いているうちに次はケータイを見ながら歩く女子生徒が来た。
「あのーちょっといいですか?」
ケータイに夢中になっているのか俺の声を無視して素通りしていく。
「最近の高校生って皆あんな感じなのか・・・。もし俺があんな感じだったら嫌だな」
少し、自分の過去に不安を持つはめになった。