【完】俺が消えてしまう前に


「愛希・・・!!貴方愛希が!!」


「何・・・!?おい愛希!!行くな!!!」



ご両親は必死に走ったそうよ。
大きな声を張り上げて。


「え?まま?ぱぱ?なぁに?」


だけど愛希ちゃんはそのまま道路のど真ん中で振り返ってしまった。

よくある話よね。
両親の声を聞いて立ち止まったがゆえに車にひかれるって。


愛希ちゃんもそれと同じ。



「・・・止まるな!愛希!!!」


「愛希っ!!!」


「ぱぱ・・・?まま・・・?」



二人が気付いた時にはもう遅かった。
止まるなと言っても止まってしまった愛希ちゃんは動かなかった。


だんだんと近づいて行くトラック。

「いやああああっ愛希!!」


「愛希いいい!」


ご両親の必死の叫びも空しく、
トラックは愛希ちゃんに当たった・・・かと思われた。


でも
ここが重要なの。


トラックは大きなブレーキ音を立てて
周りの人はそれを息をのんで見守る。

血生臭い香りと「キャーーーーーーッ!」という悲鳴。
ガソリンのもれたにおい。


二人が急いで駆け寄るとそこには愛希ちゃんともう一人、女の人が倒れていたの。



愛希ちゃんをかばうようにして大量の血を流しながら。
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