【完】俺が消えてしまう前に


少しだけ七海の様子が違った。

「七海ー?おーい」


「・・・」


「無視すんなって」


「樹君ってさ」


「うん」


「好きな子のタイプってどんな人か覚えてる?」


「はぁ!?」


「いいから」


「・・・いや、覚えてないけど」


「そう」


「そうって、なんで聞いたんだよ」


「なんとなく」


「七海は?」


「私?」


「好きなタイプ教えろよ」


「・・・近いけど遠くて、でも温かい。そんな人かな」


「なんだそれ」


「分からなくてもいいよ」




七海は足取り軽く家に向かう。


俺は七海の言った意味が分からないまま追いかけた。
< 79 / 166 >

この作品をシェア

pagetop