【完】俺が消えてしまう前に
それから何度か通った高校生に話しかけてみたが、なんだかんだで無視された。
・・・人間不信になりそうだ。
「いっちゃん?」
「おう・・・ごめん」
「なんであやまるのー?」
「いや、うん」
俺がいかに情けない人間かがよく分かったからだよ。
純粋無垢な目を向けてくる愛希に申し訳ない。
次に声をかけて無視されたら警察に行こう。
もう迷わずそうしよう。
俺は少し落胆しながらベンチに座り、待っていた。
その隣には愛希。
また暇つぶしなのか足をぶらぶらさせていた。
・・・別に高校生じゃない人に聞けばいいんだろうけど、なぜか俺の体は動かなかった。
「あの」
そんな時、
俺に声をかけてきた人がいた。
「・・・え?」
俺がゆっくり顔をあげると、そこには女子高生が立っていた。
ふわふわのすこし茶色に染まったセミロング。
目はくりくりとしていて、可愛い雰囲気。
少しだけ短い制服のスカート。
「いや、えっと・・・。なんだか、気分が悪そうに見えたので声かけてみたんですが・・・」
なんて優しい子なんだ。
俺に見向きもしなかった奴らとは天と地の差だ。
・・・今はこの子が天使に見える。
「あ、気分が悪いとかじゃなくて」
俺は事のいきさつをその女子高生に話した。