【完】俺が消えてしまう前に


一緒にきた場所は水族館。

七海という名前だけあって、水関連だった。
・・・関係あるのかないのかは
あえて本人には聞かないけど。



「ベタなとこ選ぶんだな」


「いいじゃん別に」


「いいけど?」


「そういえば愛希ちゃん今日一日桜塚さんと一緒にいるって」


「急激に仲良くなったもんなあの二人」


「微笑ましいよね!」


「まぁ、うん。そうだな」


「・・・あっ!イルカ!イルカだよ!可愛い!」



子供のようにはしゃぐ七海は新鮮だった。
愛希がいないから余計にそう見えるのかもしれない。



「わぁ・・・!綺麗だね」


「そうだな」


「ちょっともっとはしゃげばいいのに!」


「・・・七海」


「何?あ!あっちの子も可愛い!」


「おい待てって」




周りの奴らに俺は見えてない。
だから本当は七海は"一人"で来ている。


なのに
まるで近くに誰かがいるようにはしゃいでいたら、止めたくもなる。


俺は分かっているから、
いない存在だという事。

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