【完】俺が消えてしまう前に
「七海・・・いた!!!」
「あ、樹君」
「・・・七海」
「見て、ここの水槽もすごく綺麗な魚がいっぱい泳いでるんだよ」
七海が知っているのか知っていないのかは分からない。
七海の両親は
昔一度実の子供を施設に預けた事がある。
ちょうどその頃、俺の死んだ両親は
なかなか子供ができずに
施設の中で子供を一人預かった。
その子が"彼女"七星だった。
七星がすくすく育ち、
俺が生まれた。
本当の姉弟のように暮らし、
時期がたって両親にこの事実を言われた。
だけど俺と七星の関係が壊れる事もなく
幸せに過ごしていた。
あの日までは。
「綺麗すぎて、私馬鹿みたいだね」
「どういうことだよ」
「こんなオシャレしてみたりとか」
「何言ってんだ」
「いじめられてて惨めだった私だもん。そりゃそうだよ」
俺の両親が交通事故で死んでしまったんだ。
七星と俺を残して。
俺が中学生。
七星が大学生の時の事だった。
俺はそれから荒れに荒れた。
だけど七星はそれを止める事もしなかった。