【完】俺が消えてしまう前に
「んっとねー・・・たしかこっちだったきがする!」
とさっきから言われて3回目。
愛希の言う『こっちだった気がする』というのは嘘だ。
「愛希さん・・・そろそろ当ててもよろしいのよ?」
「あ、愛希ちゃん・・・ごめんね。私おばさんだからちょっと疲れてきちゃったかも」
「ももちゃんもなっちゃんももっとげんきだして!」
「やれやれ」
疲れ果てる桃子と七海。
元気いっぱいの愛希。
それに呆れる俺。
こうやっていられるのも
もしかしたらあと少し。
「あ、ここ!ここだとおもう」
愛希がようやく教えてくれたのは
あの俺が目覚めた公園の近くの大きな廃墟ビルだった。