【完】俺が消えてしまう前に
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「こんな家出てってやるよ!」
「樹、待ちなさい!樹!」
「気安く名前呼んでんじゃねぇよ」
「樹・・・お父さんになんて口聞くの!」
「だからてめぇらなんて親じゃねぇっての」
愛希がいなくなってから
この家の居心地は悪くなった。
愛希は俺にとっても
二人にとっても
かけがえのない太陽だった。
でもその太陽を奪ったのは
紛れもなく・・・。
───俺だ。
「絶対に俺を探すとかするなよ。本当の家族でもないんだから、金とかかける必要もねぇ。一生かかっても見つからないところに行くから絶対に分かんないだろうしな」
二人の声を無視して、
俺は家を出た。
そして、
今までの思い出の地を
自分の足で踏みしめた。
まずは俺と七星が一緒に暮らしていた家。
本当の父親と母親が残してくれたこの家。
もう空家になっているけど、
見た目は昔のままだ。
次は七星が事故にあった場所。
ここから俺と愛希たち家族が始まった。
第二の家族、とでも言えばいいのか。
今ではもう壊れてしまったけど。