【完】俺が消えてしまう前に
次に・・・ここは公園。
愛希との思い出の場所。
小さな愛希の背中を
俺はブランコの後ろで押していた。
砂遊びもしたし、
高校生にもなって一緒に滑り台もした。
他にもたくさん
思い出の場所はあった。
だけど、
俺はもう十分だった。
「・・・ん?」
少しだけ後ろに人がいたような気がした。
気のせいか。
俺は迷わずその足を進めた。
「愛希、ごめん。俺のせいでお前死んだよな。こんなはずじゃなかったんだ」
どれだけ謝っても許してはくれないだろう。
なくなった命は戻ってこない。
もしも幽霊として愛希が存在するのなら
俺を呪い殺してほしい。
「父さん、母さんごめん。俺のせいで愛希が死んで、辛い思いさせて。今でさえ迷惑かけてる。かけたくないから家を出たのに、きっと迷惑かけてる」
本当の両親じゃないのに俺の事を本当の子供として見てくれた。
七星が死んだのをいつも父さんと母さんのせいにしては、自己満足を得ていた俺。
それを黙って受け止めてくれた父さん。
優しく涙を流してくれた母さん。
きっと二人にも謝っても足りない。
「七星、ごめん。守ってやれなくて、俺があの時身代りになれたらって今も思ってるよ」
七星だって本当の家族じゃないのに俺の傍にいてくれた。
本当の父さんと母さんが死んだ時も
俺が荒れて手がつけられなくなっても
ずっと見放さないでいてくれた。
ありがとう、ごめん。