【完】俺が消えてしまう前に
桃子が先頭に立ち、
俺らはもう一度清水家にやってきた。
最初に来た時とは違う。
記憶をしっかりと取り戻して。
「すいません。少しだけお話をしたいのですけど」
『・・・』
インターホンに向かって桃子は話す。
無言で家の玄関が開いた。
「お邪魔しますわ」
桃子はどんどんと中に進んだ。
その勇気とかを俺は見習いたいくらいだ。
中に入ると、愛希の母親。
俺の第二の母さんがお茶を用意してくれた。
もちろん桃子と七海の分だけ。
「単刀直入に言わせていただきますわ。その前に・・・お宅の旦那様も今すぐここに呼んでください」
「・・・また、愛希の事ですか?」
母さんはちらっと七海の方を見てそう言った。
七海に言わせる間もなく、
桃子は「ええ、そうです」と言った。
母さんは少し黙った後、
ケータイで連絡をとっていた。
数十分後、
少し汗だくになった愛希の父親。
父さんが帰ってきた。