てのひらを、ぎゅっと。


『俺、サッカーも大好き。サッカーに人生捧げてるって、サッカーのために生きてるって言えるくらいにサッカーが大好き。でもな、心優?』


こうちゃんはベンチからそっと立ち上がって、太陽の光できらめく空を仰ぐ。


だから私は、必然的にこうちゃんを見上げる形になる。


『俺がサッカー頑張れるのは、お前がいるからだよ』


そう言って振り向いたこうちゃん。


その顔があまりにもかっこよくて、
凛々しくて。


私は息を呑んだ。


『心優のためなら、サッカーだって捨ててやる。そのくらい心優のこと好きなんだ。だから心配すんな。な?』


もう一度、頭を優しく撫でてくれた。


そして、こうちゃんは照れくさそうにくしゃっと笑ったんだよね。


─────・・・。


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