てのひらを、ぎゅっと。
私はすーっと大きく息を吸うと、
───ガラッと勢いよくドアを開けた。
一斉に私の方に向く視線。
一瞬、間を置いて…………
「心優ー!おはよ!」
「大丈夫かー?」
「待ってたよー」
みんなが口々に声をかけてきてくれた。
その瞬間、なぜか胸が温かくなってじんとした。
「…………心優、おはよ」
すぐさま梨帆が、あいさつをしながら心配そうに駆け寄ってきてくれる。
そして小声で、
“大丈夫?”
と耳打ちされた。
だから私はピースサインを作って梨帆に向けた。
……あれ?
私は梨帆をじっと見て気づく。
梨帆………目が腫れてる……?
梨帆はそんな私に気づいたのか、目尻を隠して、
「泣いてなんかないからね!」
とおどけた。
やっぱり泣いたんだ…………。
梨帆、ごめん。ごめんね。
自分の席へ向かう途中、心配そうな顔をしたこうちゃんと目が合ったけど、私は微笑んだだけですぐに目を背けた。
そんな私をおかしいと感じたのか、その授業中はずっとこうちゃんの視線を感じていた。