てのひらを、ぎゅっと。


───キーンコーンカーンコーン。


2時間目の授業の終わりを告げる合図が学校中に鳴り響く。


その後すぐにみんなが私の机の周りに集まってきてくれた。


心配してくれてるみんなに大丈夫だよ、
って伝えて一人一人に笑顔を見せる。


その時ふと、たくさんの人だかりの隙間からチラッと見えたこうちゃん。


どこか浮かない顔でボーッとしている。


そんなこうちゃんを見て、私は軽くため息をつく。


もう、今日は大事な日なんでしょ?


男ならしっかりしなきゃ。


なんて思ってる私の鋭い視線にも全く気づく気配なし。


よし、もう我慢できない。


「こうちゃん!」


大きな声で名前を呼ぶと、椅子を後ろに飛ばして、私はガタッとその場に立った。


みんなも、名前を呼ばれたこうちゃん本人も、何事かと目を丸くしている。


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