てのひらを、ぎゅっと。


「1ヶ月記念日、おめでとう!」


大きく息を吸い、一言。


それからひとつ間があって、みんなから
”ヒューヒュー“と冷やかしの声があがる。


“何でお前が知ってるんだ……?”


って疑い深い顔をしている間抜けなこうちゃん。


実はあのサッカーの試合の後、希衣ちゃんに聞いたんだ。


記念日、いつなの?って。


そしたら、5月25日に1ヶ月記念日迎えますよ、って返ってきたの。


私はあのサッカーを見に行った日、決めたんだ。


こうちゃんと希衣ちゃんの記念日を誰よりも祝福するって。


そしたら今よりももっと、前へ進める気がしたから。


私は自分の席を離れ、足をこうちゃんの方向へ動かす。


そして、まだ間抜けな顔をしているこうちゃんの目の前に行く。


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