てのひらを、ぎゅっと。



「こうちゃん、私のこと好きになってくれて、ありがとうね」


そっと微笑む。


”好きだよ“って、”愛してるよ“って伝わるように。


こうちゃんも同じように微笑んでくれた。


窓から入る夏風が、こうちゃんの無造作な短い髪をゆらゆらと上下に揺らす。


「俺も同じこと思ってるよ。あの日……勇気を出して告白してくれてありがとう。
俺………心優と付き合えて、世界一の幸せ者だよ………」


………なに言ってんの。


世界一の幸せ者。


この言葉を言うのは私のほうだよ。


一生分の幸せをくれて、ありがとう。


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