てのひらを、ぎゅっと。
「なぁ……心優?」
「………ん?」
「あの、さ……」
「…………ん」
さっきまでの甘い雰囲気とは打って変わって、緊迫した雰囲気。
こうちゃんはこういう時の雰囲気を変えるのがすごく上手いよね。
子供みたいな表情からあっという間に、
男の人の表情になっちゃうから、私の心臓がついていかない。
こうちゃんの真剣さから、何を言われるのかだいたいの検討はついた。
「俺……もう帰りたくない。今日は、心優を離したくない」
“ずっと心優と一緒にいたい”
じっと私を見つめてくる熱っぽい瞳。
その瞳から目を逸らしたくなるくらいに気持ちがひしひしと伝わってくる。
「私もこうちゃんと…………寝るときもずっと、一緒にいたいよ」
そう思った。
別に変な意味はなくて。
多分それはこうちゃんも一緒だと思う。
ただ、今日だけはこの温もりを手放したくない。
このてのひらを離したくない。
それだけのこと。
私たちはふたりで病室を出て、先生の休憩室へ向かった。
先生が出した答えは………
“病状が悪化する恐れのあることは絶対にしないこと。あとは、お互いの両親に聞きなさい。特に心優ちゃんのね”
私とこうちゃんは声を揃えて言った。
「「ありがとうございます!!」」