てのひらを、ぎゅっと。
夜空に願いを
”ねぇ、こうちゃん。私……星が見たいな”
私のその一言で、今、私とこうちゃんは病院の屋上にいる。
もう夜8時を過ぎていることもあってか、
夏の空も完全に暗黒に染まり、夜空には無数の星が散りばめられている。
「寒くないか?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとね」
「ならいいけど。………寒くなったら遠慮なく言えよ?俺が温めてやるから」
「ふふっ、分かった」
少し甘い会話を交わしてそれからは無言のまま、ふたり肩を並べて空を見上げる。
目に灯るひとつひとつの星屑が、切ないくらいに美しくて、キレイで。
「なぁ……あの日のこと、覚えてるか?」
こうちゃんが低く掠れた声で呟いた。
「覚えてるよ…。忘れるわけないじゃん。私たちふたりの初デートだったもんね……」