てのひらを、ぎゅっと。


───────・・・。


「確かあの日も、こうやってふたりで星を見てたよな」

「……うん。今、私も思い出してた。あの日のことと、今と全く変わらない星空を」


あれからもう1年か。


1年前の私には、とてもじゃないけど想像できなかっただろうな。


自分がこんな病気に襲われちゃうなんて。


「いろいろあったな」

「だね……」


本当だよ。


楽しいことも、悲しいことも。


モテモテなこうちゃんに、嫉妬したことだってたくさんあったんだよ。


自分の弱さと情けなさにすぐ泣いて、自分が大嫌いになったこともあったね。


でもそんなダメダメな私でも好きだよ、
ってこうちゃんが言ってくれるから、私もまた自分を大好きになることができた。


「いろいろあったけどさ、心優がいたから何だって楽しかった。ありがとな?」

「……私は何も……して、ないよ…」

「ううん、お前はそばにいてくれた。
お前の笑顔に、何回も癒されたよ。本当にすげーと思う。だって心優といると、
苦しいこともつらいことも、全部楽しみに変わるんだ」


…………そんなこと、言わないでほしい。


お礼を言うのは私の方だよ。


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