てのひらを、ぎゅっと。



たまらなく怖い。


例えようのない恐怖に襲われる。


「………大丈夫、大丈夫。俺がいるから」


何度も繰り返すように、私に言い聞かせてくれるこうちゃん。


その優しさに、ポロポロと私の恐怖が雫となって頬を伝う。


私の哀しみの涙は、そのままベットや枕へと吸い込まれていった。


「ごめ………っ」

「いいから、泣け。心優の恐怖も涙も全部全部、俺が何ひとつ落とさず受け取ってやるから。お願いだから、無理して笑うな。一人で押さえ込むな」


梨帆と同じようなことを言うこうちゃん。



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