てのひらを、ぎゅっと。
「心優……本当に大丈夫か?」
「うん、今のところは大丈夫だよ」
「それならいいが、少しでも調子が悪くなったら……」
「分かってるよ、言うから」
手術室に向かう道筋。
私を心配してくれてるお父さんには悪いけど、私の頭はお母さんと赤ちゃんのことでいっぱいだった。
だからお父さんの話しの内容はあまり頭に入ってこなかった。
この3週間、動くことさえままならなかった私。
だけど、今こうやって平気で車椅子に乗れてる私に、自分自身が驚く。
手術室に行くまでも、手術室の前にきてからも、私はひたすら願った。
「お母さん………頑張れ。赤ちゃん……頑張れ………」