てのひらを、ぎゅっと。



お父さんはそんな私の肩に手を添える。


「優子と俺の子だ。それに、生まれてくる子はお前の妹だ。お前の妹なら……きっと大丈夫だよ。お前が言ったんだろ?大丈夫って」

「………うん…」

「それならきっと、大丈夫だ」


お父さんは、にっこりと笑う。


その笑顔は、どんな励ましの言葉よりも、私の心を安心させてくれた。


手術室の赤いライトが消えるまで、私たちはただひたすら前だけを見続けてた。


ふたりの命が、どうか無事であるように。


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