てのひらを、ぎゅっと。
お父さんもお母さんに加わって、あやすように優しく声をかける。
「ほら、心優も声かけてあげてよ」
お母さんにうながされて、私は紫苑を見つめる。
なんか……少し恥ずかしい。
「…………紫苑。お姉ちゃんだよ?」
私をじとっと見つめる黒目がちな小さな目は、引き込まれてしまいそうなくらいに強い輝きを放っていた。
「う……、ああ……あ……う………。ああ……たーい!!」
右手を大きく振り上げ、足をばたつかせ、私を見て笑った紫苑。
まだ赤ちゃんのはずなのに、そのふっくらとした頬にはうっすらと小さなえくぼが浮かび上がっていた。