てのひらを、ぎゅっと。
ただ思ったんだ。
この子のえくぼを見た瞬間に、お母さんの言葉を聞いた瞬間に。
紫苑は私の妹なんだって。
私はゆっくりと、本当にゆっくりだけど、紫苑のてのひらに向かって自分の右手を伸ばした。
私のてのひらが、紫苑の小さな小さなてのひらに触れる。
そして私の人差し指を、紫苑はぎゅっと握った。
本当に本当に小さくて。
すぐに折れちゃいそうなくらい細くて、
儚くて。
でも………必死に生きてて。
「紫苑……っ」