てのひらを、ぎゅっと。



”紫苑“


私は………あと何回、あなたの名前を呼べますか?


あと何度、あなたに触れられますか?


きっと紫苑が大きくなったとき、私はもう紫苑のそばにはいません。


”妹と一緒に、買い物をする“

”妹と、恋バナをする“


頭に思い描いていたそんな願いも、もう叶うことはありません。


でもね、紫苑?


私は紫苑のお姉ちゃんです。


紫苑は私の妹です。


てのひらの温もり、忘れないよ。


紫苑のこと、忘れないよ。


私の妹になってくれて、ありがとう。


無事に私たち家族のもとへ生まれてきてくれて、本当にありがとう。


私と紫苑が出会えたことも、きっと大きな奇跡なんだよね。


< 243 / 465 >

この作品をシェア

pagetop