てのひらを、ぎゅっと。
そう、学校!
こうちゃんは学校に行く時間のはず。
「へ?学校?もちろん行くに決まってんだろ」
「じゃ、じゃあ早く行かなきゃ!」
間に合わなくなっちゃうよ?
早く行かないとこうちゃん遅刻じゃん。
無断で遅刻しちゃうと先生に怒られちゃうよ?
言いたいことはたくさんあるのに、それらの言葉は喉に詰まって出てこない。
だってこうちゃんがあまりにも平然とした顔をしてるから。
「………はぁ」
急に吐かれた溜め息。
「な、なに?」
「だーかーら、心優も俺と一緒に学校行くんだよ!」
………え?
一緒に?ああ……そっか。
………?
「えぇ!?」
「ははっ、びっくりしすぎ」
「そ、そりゃ、びっくりするでしょ!だいたい先生がダメって………」
「先生になら許しもらったから大丈夫!
担任にも許可もらったし。みんな………お前のこと待ってるぞ?」
…………嘘…。
う、そだぁ…。
私、もう一回学校に行けるの?
あまりにも突然だから、これは夢なんじゃないかって少し不安になってる自分がどこかにいる。
「言っとくけど、これは夢なんかじゃねーからな?」
「あ……はい」
私の考えてること、バレてたんだ。
夢じゃないってことは………これは現実だよね……?
うん、ほっぺたを軽くつねってみたけど、ちゃんと痛いよ。
ってことは、現実だ。
「おいおい、そんな自分痛めつけるようなことしなくても現実だって」
「だ、だって……」
「心優、七夕の時、短冊に書いてただろ?学校に行きたいって」
「うん………書いたけど…」