てのひらを、ぎゅっと。
織り姫さんと彦星さんが1年に一度だけ会える、7月7日の七夕の日。
ここはとても大きな病室だから、ロビーにも大きい笹がたててあって。
小児病棟に入院してる小さな子供たちや、怪我を負って、手足のリハビリに通っている人。
たくさんの人が短冊に夢を書いてる姿を見て、私も書いてみたんだ。
大好きな水色の短冊に、”学校に行きたい”って。
こうちゃんは数ある短冊の中、それを見つけてくれたんだ。
些細なことだけど、今の私にとってはすごく嬉しいこと。
「俺がその夢、叶えてやるよ」
私の髪の毛をいつものようにくしゃくしゃっとして笑ったこうちゃん。
その笑顔に、私の心が何度目か分からないドキドキを刻んでいく。
「ほら、早く乗れ!」
足の力が上手く入らなくて、歩けない私のために、こうちゃんが車椅子を持ってきてくれた。
でも………。
「私一人だったら車椅子、上手く乗れないんだけど………」