てのひらを、ぎゅっと。


でも………一人じゃ乗れないし……。


悔しいけど……


「………乗せて」


こう言うしかないんだ。


なんか、恥ずかしい。


だって、「乗せて」って………自分から
「お姫様だっこしてください」って言ってるようなもんじゃんか……。


こうちゃんはまだニヤニヤしてる。


もう本当に恥ずかしくて、顔が熱っぽくなってくるのが分かった。


”顔から火がでる“って、こういうことなんだって思った。


「早く、乗せてよ………」

「もう……ったく、可愛いなぁ。俺の彼女……いや、俺の姫は」

「分かったから、姫って呼ぶのやめて。
恥ずかしいんだからね……」

「分かったよ」


私の言葉を聞いたこうちゃんは、勝ち誇ったような笑みを浮かべてる。


その顔を見て、やっぱりちょっとだけ悔しくなった。


「じゃ、しっかり掴まってて」


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