てのひらを、ぎゅっと。



私の膝下と背中の下に手を入れ、軽々と私の体を持ち上げたこうちゃん。


「きゃっ」


バランスが崩れそうになって、反射的にこうちゃんにぎゅっとしがみつく。


その時、私の唇に生温かいものが触れた。


それがこうちゃんの唇だと気づくまでにほんの数秒。


「…………もう。ばぁーか」

「へへっ」


いたずらっ子みたいに、にかっとはにかむこうちゃん。


私は恥ずかしくてすぐに目を逸らした。


そのまま、ストン……と車椅子に体をおろされる。


「じゃあ……行こっか?」

「………うん…」


私は今もまだ続くドキドキを胸に抱いたまま、おそらくこれが本当の最後になるであろう学校に向かった。


心の中に………たくさんのクラスメイトの笑顔を思い浮かべながら。


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