てのひらを、ぎゅっと。


─────パチパチパチ。


私たちの卒業式は、たくさんの人による盛大な拍手で始まった。


いつもはスカートを規定以上に折って短くしている派手なグループの人たちも、
今日ばかりは私たちと同じ、膝上でスカートが揺れている。


それが少しおかしくて、大事な式典だというのにクスッと笑ってしまった。


「卒業証書授与」


一人一人担任の先生から名前が呼ばれ、
校長先生から手渡しで、卒業証書が渡される。


卒業証書を受け取る同級生の姿は、とても凛々しくて、私だけが取り残された気がして少し寂しくなった。


でも、私もちゃんと進めてる。


そう思えば、寂しさも半分に和らいだように思えて、みんなの顔がもっと輝いて見えた。


そして、卒業証書授与式の最中には、この人の名前も呼ばれた。


今、私が一番会いたくて、もう絶対に会えない人。


「相川心優」


その瞬間、多くの人が涙をこらえるようにぐっと俯いた。


私も目頭に込み上げてくるものを零さないように、懸命に拳を握る。


涙を流すのはここじゃない。


それからも校長先生の話しや、来賓の方々の話し、式は予定通り順調に進んで行き、在校生による送辞も終わった。


次はいよいよ…………。


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