てのひらを、ぎゅっと。
紫苑side
チュン……チュンチュン。
「ん………」
息をそろえて大合唱する、小鳥のさえずりで私は目が覚めた。
もう、朝か………。
でも、もう少し寝ていたいよ………。
「んぅ………」
「こらー!紫苑!もう学校行く時間でしょ。起きなさい!」
急に聞こえた怒声にビクッと体を強ばらせるけど、やっぱり眠気には勝てなくてまた寝そうになっちゃう。
それにしてもお母さん、うるさいよ……。
「遅刻するわよー」
「……別にいい」
「こら紫苑!いい加減にしなさい!」
また怒られちゃったけど返事をするのも面倒くさくて、もういっそのこと無視して、また眠りにつこうとした時。
「玲央くん、もう外にいるわよ!」
…………え!?
お母さんから聞こえた、”玲央“という言葉に酷く反応した自分の体。
「分かった!すぐ準備する!」
あっという間に眠気なんてものはどこかへ飛んでいってしまった。
私はすぐさまベットから飛び起き、慌てて制服を着る。
それから歯を磨いて顔を洗って、髪の毛をくしで念入りにとかす。