てのひらを、ぎゅっと。


「心優、ついたわよ」

「あ、ほんとだぁー」 


私は外を見て、間延びした声を出す。


気づけば、もう車は病院の敷地内にしっかりと止まっていた。


「心優、行きましょ。きっと、何ともないわよ」


そう言って笑うお母さん。


「うん。だって私だもんねー!風邪だよ、風邪!あ、それか胃腸炎とか?それが酷くなったんだね、きっと」


この時の私はまだ気づいていなかった。


もう半年も前から、私の体の歯車が壊れていたなんて。


全く、気がつかなかったよ。


ねぇ、こうちゃん………助けて。




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