てのひらを、ぎゅっと。


紫苑を眺めていると、その向こう側から背の小さい男子生徒が歩いてくるのが目に入った。


男の俺から見ても、かっこいいと思った。


ただ、中学生の男子にしては背がかなり小さいと思うけど。


「紫苑?」


そいつが紫苑に向かって声をかける。


紫苑と呼ばれて、そいつの方に振り向いた彼女。


その様子を見て、やっぱり彼女は心優の妹なんだな、と俺は心の中で一人納得。


紫苑は彼の姿を見て、ビクリと小さく震えた。


赤く染まった紫苑の横顔。


そんな紫苑があの日の心優と重なって見えて、どうしようもなかった。


< 376 / 465 >

この作品をシェア

pagetop