てのひらを、ぎゅっと。
「こらー。心優!早く着替えて降りてきなさい。光希くん、もうきてるわよ」
えー、もうきたのー!?
「わかったよー、もうすぐ降りるー!」
もう、くるの早いよ。
そう思って時計に目を向けると、時刻は
8時20分。
あ、いつも家を出発する時間じゃんか。
私が遅いのか。
「お母さーん。エプロンとマフラー!」
「はいはい。机の上置いてるから早く行きなさい。光希くん、待たせてるんだから」
私の頭をポンッと叩くお母さん。
「分かってるって!行ってきまーす!」
私は元気よく玄関の扉を開いた。