てのひらを、ぎゅっと。
「ねぇ、光希くん……?」
子供たちを寝かしつけ、俺もそろそろ寝ようかと布団に入った直後。
明かりを消した真っ暗な部屋に、希衣の声が静かに響く。
「なんだ?」
俺は優しく言葉を返した。
「あの……これ………」
「ん?」
真っ暗の中よく見てみると、希衣の両手には何かがあった。
…………本?
それはなにか少し重みのありそうな物。
俺はベットから起き上がって、電気をつける。
暗いとこにいたからか、明かりがすごく眩しくて俺は目を細めた。
「心優先輩のお母さんがね……今日、家にきたの」
「は?」
考えもしなかった言葉に思わず思考が停止し、俺の体が硬直するのが分かった。