てのひらを、ぎゅっと。
クリスマス。
夜はお互い家族と過ごす予定が入ってたから、俺らはお昼に遊んだんだよな。
街にある大きなクリスマスツリーの前で、手を繋いでいる俺たちの写真。
心優がクリスマスの少し前に、ふたりでお揃いのものが欲しいなって言ってたから、俺はハートのキーホルダーを買った。
それを買いにレジまで持っていった時、
彼女さんへのプレゼントですか?ってからかうように聞かれて、すっげー恥ずかしかったんだからな。
俺が女に贈った、初めてのプレゼント。
”好きな人と過ごす初めてのクリスマス。
こうちゃんが可愛いハートのお揃いのキーホルダーをくれました。こうちゃんと付き合えて、毎日が幸せ“
そして季節は中2の冬。心優の家の庭で俺たちが雪だるまを作ってる。
これも心優の母さんが撮ってくれたんだろうな。
ってかこんな写真見てると、俺もガキだったな、って笑えてくる。
あの頃の俺たちはまだ何にも知らなくて、ただ純粋に想いあっていた。
泣きたいくらいの幸せに包まれて、俺は心優を抱きしめながら、自分とある約束をしました。
心優の全てを守り、愛せる男になると。
“私とこうちゃんの雪だるま、ずっと溶けなきゃいいのにな。寒いな……って私が言ったら、こうちゃんが後ろから抱きしめてくれました”
あ、これは俺の母さんが撮ってくれた写真だ。場所は俺の家。2月頃かな?
制服姿に心優はマフラー、俺はネックウォーマーを身につけて、ピースサインをして笑ってる。
確かこの時初めて、心優と俺の母さんは顔を合わせたんだ。
心優がガチガチに緊張してて、すごくおもしろかったな。
でも心優が帰った後、母さんが俺に言ったんだ。
優しくて思いやりのある子ね、って。
母さんが心優の良さを分かってくれた、
そんな些細なことが中学生の俺にとっては嬉しかったんだよ。
”こうちゃんのお母さんは本当に本当に優しいです。そしてとても美人さん。こうちゃんに似て、とても温かい人でした“