てのひらを、ぎゅっと。


「それから………ね?」

「ん?」


梨帆が深呼吸をして、大きく叫ぶ。


「大島くんも一緒!!!」


その瞬間、周りの視線が私たちに向く。


ちょ、梨帆!声大きいって!


私はなんだか恥ずかしくなって、口を結んで俯いた。


……そっか。


こうちゃんも一緒なんだ…。


「あれ?嬉しくないの?大島くんとクラス一緒なの」

「い、いや!すっごい嬉しい!」

「だよね!」


嬉しいんだけど………ね。


「あ、そういえばさ、春休み病院行ったんでしょ?どうだった?」


…………絶対聞かれると思ってた。


私は初めて親友に嘘をついた。


「ぜーんぜん、大丈夫!」


私はピースサインを作って梨帆に向ける。


梨帆、嘘ついてごめんね。


ずっとずっと一緒にいたから信じられないんだけどね。


私もうすぐ、梨帆と会えなくなります。


< 49 / 465 >

この作品をシェア

pagetop