てのひらを、ぎゅっと。


「お前、何センチになった?」

「………………143…………」

「ちっちゃ!」

「もー、うるさい!」


身長を言った瞬間に突っ込まれた。


そんなちっちゃいちっちゃい言わなくてもいいじゃんかよ。


もー拗ねる。拗ねるからね。


そう思って俯いてぷくっと頬を膨らませた時。


「でも…………可愛くなったな」

「は!?」


急につぶやかれた疑いならぬ言葉に俯いていた顔を上げると、にかっと笑うお父さん。


その姿が誰かさんと重なって見えた。


「お前は本当に可愛くなったよ………」


……こうちゃん。


私の目の前にいるのは確かにお父さんなのに、にかっと笑った顔が。可愛いと言ってくれるその台詞が。


誰かさんとかぶって見えた。


『間違いなく、お前が一番可愛いから』


そう言って笑ってくれたこうちゃんに。


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