てのひらを、ぎゅっと。



「お父さん………。今日、久しぶりに一緒にお風呂に入らない?」


今日を逃したら、お父さんともう二度と一緒にお風呂に入れないような気がした。


「え、えぇ?」


力のない声を出して、あわあわと挙動不審に陥っているお父さん。


ふふっ、なんかちょっと可愛いかも。


「心優、お父さんとお風呂入りたいな?」


普段は自分のこと“心優”なんて呼ばないくせに、今日は呼んでみる。


上目遣いで首を傾げる。


ってか今の私、ぶりっこみたいだね。


ま、自分のお父さんなんだから少しくらいいいよね?



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