てのひらを、ぎゅっと。


「………大きくなったな…」


……なにそれ。さっきまで私のこと小さいって言ってたのに、意味わかんない。


「可愛くて、明るくて、笑顔がすごく似合ってて。お前と優子がいたから父さん、仕事頑張れた」


そんなこと言われたら私……。


「お、とうさん………、ごめんなさ、い
……私……」


泣いちゃうよ。


泣きたくないのに。


泣いたら涙が止まらなくなることくらい、しっかり分かってるのに。


「謝るな。泣きたいときは泣け。親不孝だなんて思わなくていい。父さんは、お前が俺の娘でよかったと本気で思ってる」


そう言って振り向いたお父さんの頬にも雫が伝っていて。



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