てのひらを、ぎゅっと。


放課後。


「何か最近、心優生き生きしてるね!」

「えへっ、そう?」

「うん、なんかいつも以上に笑顔が輝いてる」

「あはっ、ありがとー」


もし梨帆の言ったことが本当だとしたらそれは、病気のおかげだ。


まっすぐに生きようと思わせてくれた病気のおかげ。


でもただひとつだけ素直になれないこと。


自分の気持ち。


こればかりは、どうしようもないんだけどね。


あ、それから……梨帆に本当のことを言えないことも悩みのひとつ。


でも、遅くても今月中には言うつもり。


6月に入ると、いつ入院になるか分からないから。




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