俺の素顔、知りたい?
武智がスリーポイントを決めようとかまえた───瞬間。
「涼介ー!!決めろーっ!!」
そんな鼻につくような甲高い声で武智の名前を叫んだ女の子。
私が戸惑ったくらいだから、武智の方が驚いたんだろう。
「……あ!」
ボールはリングをくぐることなく床に落ちた。
たぶんこれが武智のチームにとって最後のチャンスだったはず。
リバウンドは先輩のチームの人が取って、得点差は変わらないまま試合が終了した。