俺の素顔、知りたい?
カラオケについて早速、バラード系の歌を投入した。
けっこう有名な曲だからか先輩も知っていてすぐに歌ってくれた。
「そうか?普通だろ」
なんてことないようにそう言った先輩。
普通なんかじゃない。
この曲を歌っている人はちょっと声が高めの男性歌手だけど。
先輩は少し低音で……どこか甘い音色だった。
「普通なんかじゃないですよ!」
先輩にそう返しながら、マイクを握る。
次は私の番だね!
「……あ、胡桃、待って」
立ち上がろうとした私の腕を掴んだのは、もちろん先輩。